Commons Forum #2
“Theater and Society”
- フォーラム
パンデミックのトラウマが癒える間もなく、世界各地での戦争、トランプ政権の再来、拡散されるフェイクニュースが現実さえも書き換えていってしまう混迷の時代。政治や暴力の「劇場化」も加速する中、演劇は混迷の社会を描くだけでなく、社会や個人の生になんらかの変革をもたらすことは可能なのだろうか。
この問いに真摯に向き合い、ポストドラマ演劇の旗手として演劇界に革命を巻き起こした演出家・劇作家ルネ・ポレシュ(1962–2024)。2021年からドイツ・ベルリンのフォルクスビューネの芸術監督としてさらなる活躍が期待されていた矢先の急逝は、大きな喪失として受け止められた。
本フォーラムでは、ポレシュの演劇理念を振り返りながら、社会と演劇の関係性を討議する。前半はポレシュの演劇実践の革新性を、創作を共にした俳優や研究者の視点から振り返りつつ、後半では第一線で活躍するアーティストを交えて演劇的思考が社会にもたらす変革の可能性を、実践、思想両面から議論したい。
登壇者|
[第一部]針貝真理子(東京大学大学院総合文化研究科准教授)、萩原健(明治大学国際日本学部教授)、原サチコ(俳優)
[第二部]小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク(舞台作家)、高山明(演出家、アーティスト)
司会|相馬千秋(シアターコモンズ実行委員長兼ディレクター)
プロフィール
針貝真理子(はりがい・まりこ)
福岡県生まれ。演劇学、ドイツ文学・思想。東京大学大学院総合文化研究科准教授。主な論文・著書:『Ortlose Stimmen』(transcript、2018)、「都市の声、餌食の場所—ルネ・ポレシュ『餌食としての都市』における〈非場所〉の演劇」(『ドイツ文学』156号、2018年所収)、『モノと媒体の人文学—現代ドイツの文化学』(共著、岩波書店、2022年)、『演劇と民主主義』(共編著、三元社、2025年刊行予定)。
萩原健(はぎわら・けん)
1972年東京生まれ。明治大学国際日本学部教授。博士(文学)。専門は現代ドイツ語圏の舞台芸術、および関連する日本の舞台芸術。著書に『演出家ピスカートアの仕事』、共訳にフィッシャー=リヒテ『パフォーマンスの美学』ほか。ドイツ語圏劇団の来日公演等で稽古場通訳、字幕翻訳・制作・操作も務める。2011年のフェスティバル/トーキョー11で、ポレシュ作・演出『無防備映画都市 ルール地方三部作・第二部』を担当。
原サチコ(はら・さちこ)
1964年神奈川生まれ。日本人として唯一のドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス)公立劇場専属女優。上智大学ドイツ語学科卒。在学中より演劇舎螳螂にて演劇を始め、後にロマンチカにて活躍。1999年渡辺和子演出『楢山』でドイツ初舞台。2001年ドイツへ移住。2004年ウィーン・ブルク劇場専属になったのを機にハノーファー、ケルン、ハンブルク、チューリッヒと20年にわたり劇場専属俳優として活躍中。現在はハンブルク・シャウシュピールハウス専属女優として活躍する他、広島原爆伝承活動、パフォーマンス、舞踏、演出、翻訳、講演など日独間の活動も多岐にわたって行っている。
高山明(たかやま・あきら)
2002年に演劇ユニットPort B(ポルト・ビー)を結成。国内外の諸都市において、ツアーパフォーマンスや社会実験、教育事業や都市プロジェクトの立ち上げなど、多岐にわたる活動を展開している。2013年にPort都市リサーチセンターを設立し、演劇的発想を観光や都市プランニング、教育やメディア開発などに応用する取り組みを行っている。近年では「新・劇場」プロジェクトを始動し、劇場という場の更新を試みている。著書に『テアトロン 社会と演劇をつなぐもの』(河出書房新社)など。
小野彩加(おの・あやか) 中澤陽(なかざわ・あきら) スペースノットブランク
二人組の舞台作家・小野彩加と中澤陽が舞台芸術作品の創作を行うコレクティブとして2012年に設立。舞台芸術の既成概念と、独自に研究開発する新しい仕組み(メカニズム)を統合して用いることで、現代における舞台芸術の在り方を探究し、多様な価値創造を試み続けている。固有の環境、関係から生じるコミュニケーションを創造の根源として、クリエーションメンバーとの継続的な協働と、異なるアーティストとのコラボレーションのどちらにも積極的に取り組んでいる。https://spacenotblank.com/
日時
2月27日(木)19:00–21:00
上演時間
120分
会場
ゲーテ・インスティトゥート東京
〒107-0052 港区赤坂7-5-56
チケット
無料
*要予約・自由席
上演言語
日本語
アクセシビリティ
字幕言語|なし
音声ガイド|なし
その他アクセシビリティ|車椅子席あり
クレジット
協力|ゲーテ・インスティトゥート東京
関連企画
ルネ・ポレシュ/小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク「あなたの瞳の奥を見抜きたい、人間社会にありがちな目くらましの関係」