コモンズ・フォーラム#1
「非同期することばたち──非同期的ドラマトゥルギーはいかに生成するのか」

Commons Forum #1

"Unsynchronized Voices: How can we generate an unsynchronized dramaturgy?"

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© Li Yinjun

すでに2年が経過したパンデミックは、世界中を「強制同期」し続けている。ロックダウン、国境封鎖、ワクチンの供給、それらの措置が生み出す格差や差別に、私たちは一気一憂し右往左往する。そしてこの「強制同期」は巧みに自動化され、即座にクラウド化され、全世界的な管理社会を強化している。
パンデミックがもたらすこうした新たな全体主義に亀裂を入れ、意識的に「非同期する」声をあげ/聴くにはどうしたらいいのか。それには、男性と女性、人間と動物、人工と自然、内側と外側、正義と悪といった単純な二項対立を撹乱し、人間中心的な視座から編まれてきた制度や歴史に水を差すドラマトゥルギーが必要なはずだ。
本フォーラムでは、コロナ禍の2年間で「非同期することばたち」を編み上げてきたアーティストらとの対話を通じて、パンデミック時代の新たなドラマトゥルギーの戦略について議論したい。

登壇者|市原佐都子(劇作家、演出家、小説家、城崎国際アートセンター芸術監督)、ウェン・ホイ(ダンサー、振付家、ドキュメンタリー映像作家)、キュンチョメ(アーティスト)、 ほか
司会|相馬千秋(シアターコモンズ ディレクター)

プロフィール

市原佐都子(いちはら・さとこ)
劇作家・演出家・小説家・城崎国際アートセンター芸術監督。1988年大阪府生まれ福岡県育ち。桜美林大学にて演劇を学び、2011年よりQ始動。人間の行動や身体にまつわる生理、その違和感を独自の言語センスと身体感覚で捉えた劇作、演出を行う。2011年、戯曲『虫』にて第11回AAF戯曲賞受賞。2017年『毛美子不毛話』が第61回岸田國士戯曲賞最終候補となる。2019年に初の小説集『マミトの天使』を出版。同年『バッコスの信女 ─ ホルスタインの雌』をあいちトリエンナーレにて初演。同作にて第64回岸田國士戯曲賞受賞。2021年、ノイマルクト劇場(チューリヒ)と共同制作した『Madama Butterfly』をチューリヒ・シアター・スペクタクル、ミュンヘン・シュピラート演劇祭にて上演。公益財団法人セゾン文化財団セゾン・フェロー。

© Flavio Karrer

ウェン・ホイ (文慧)
中国現代舞踊のパイオニアの一人。振付家、ダンサーであると同時に、ドキュメンタリー映像やインスタレーションの制作も行う。北京舞踏学院にて振付を学び、1989年に卒業。1994年にニューヨークでモダンダンスを学ぶ。1994年、映像作家のウー・ウェングアン(呉文光)とともに中国初のインディペンデント・カンパニー「生活舞踏工作室(Living Dance Studio)」を設立。ウェン・ホイの作品は、身体がどのように個人的な社会的記録のアーカイブを保持しているかを研究し、身体の記憶がいかに歴史と現実の衝突を引き起こすのかを実験している。
『出産(生育)報告』(1999)では、女性たちに出産の経験についてインタビューし、身体を抵抗の戦略として用いることで、当時の女性の文化的・日常的な複雑さを表現している。最新作『I am 60』(2021)はヨーロッパの複数の都市で上演。2021年ドイツ連邦共和国の公式な勲章ゲーテ・メダルを受賞。

© Richy Wong

キュンチョメ
ホンマエリとナブチの二人によって結成されたアートユニット。これまで福島、石巻、沖縄、香港、ベルリンなど、社会の分断を抱えた地域での活動を、主に映像インスタレーションとして発表。科学や論理を超えてなお人々が信じようとする「現代の信仰」の対象を探り、そこに渦巻く感情や真実をあぶり出す作品群は、加害者と被害者、当事者と非当事者、善と悪の境界線を揺さぶり、詩的かつユーモラスに異次元へと昇華させる。あいちトリエンナーレ 2019では性的マイノリティ(トランスジェンダー/ノンバイナリー)の人々と協働作業を行い、生きづらさや親子の葛藤などを描いた『わたしは世治』や『声枯れるまで』を発表した。

相馬千秋(そうま・ちあき)
シアターコモンズ実行委員長兼ディレクター(2017–現在)。NPO法人芸術公社代表理事。アートプロデューサー。演劇、現代美術、社会関与型アート、VR/ARテクノロジーを用いたメディアアートなど、領域横断的な同時代芸術のキュレーション、プロデュースを専門としている。フェスティバル/トーキョー初代プログラム・ディレクター(2009–2013)、あいちトリエンナーレ2019および国際芸術祭あいち2022パフォーミングアーツ部門キュレーター。2015年フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受章、2021年芸術選奨(芸術振興部門・新人賞)受賞。2021年より東京藝術大学大学院美術研究科准教授。2023年にドイツで開催される世界演劇祭テアター・デア・ヴェルト2023のプログラム・ディレクターに就任。

©Yurika Kawano

日時

2月23日(水・祝)17:00–19:00

上演時間

120分

会場

ゲーテ・インスティトゥート東京
〒107-0052 港区赤坂7-5-56

参加方法

リアル参加|要予約・コモンズパス提示
リモート参加|パス購入後に送付される専用ページ掲載のURLよりアクセスしてください

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上演言語

日本語(中国語通訳つき)

クレジット

会場協力|ゲーテ・インスティトゥート東京