コモンズ・フォーラム #2
「芸術と公共」

Commons Forum #2

“Arts and Public”

言論イベント

「公の時代」の芸術:芸術の公共性を再定義するために。

「人を不快にする芸術には公的資金を投入すべきではない」という公人の発言が相次ぎ、それに賛同する公権力や不特定多数の存在がかつてない規模で可視化されている。だが、そもそも日本において「芸術の公共性」や「表現の自由」という概念が、十分に社会的コンセンサスとして形成されてきたとは言いがたい。地域振興や経済活性化、国家・都市のイメージ発信を優先してきた日本の文化政策の基盤が、今激しく揺らいでいる。
本フォーラムでは、芸術家、アートプロデューサー、文化政策研究者など、異なる立場の論客がそれぞれの実践を通じて志向する「公」の理念を持ち寄り、その一致点と差異から、芸術と社会における「公共」のあるべき形を議論する。その先に、政治や国際情勢に左右されない芸術文化助成の制度設計や、オリンピック以後の文化政策の未来が浮かび上がるだろう。

登壇者│
北川フラム(アートディレクター)
卯城竜太(Chim↑Pomメンバー)
小林恵吾(早稲田大学建築学専攻准教授、建築家、NoRA共同主宰)
若林朋子(プロジェクト・コーディネーター/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)

司会│相馬千秋(シアターコモンズ ディレクター)

コモンズ・フォーラム

あいちトリエンナーレ2019以後、「表現の自由」や「芸術の公共性」をめぐる議論が噴出している。分断と不和が可視化された今日の社会において、私たちはどこへ向かうのか。今回のシアターコモンズでは、この火急の状況への応答として、4回にわたるコモンズフォーラムを集中開催。「芸術と社会」「芸術と公共」「芸術と仮想性」「芸術と政治」という4つのテーマ設定のもと、国内外から総勢20名を超える論客を招き、合計10時間を超える議論の場を設ける。歴史と未来をつなぎ、理論と実践を行き来しながら、社会の分断を乗り越えるための芸術の可能性について立ち止まって考える共有地が、今こそここに立ち現れるはずだ。

プロフィール

北川フラム(きたがわ・ふらむ)
1946年新潟県高田市(現上越市)生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。アートフロントギャラリー代表。主なプロデュースとして、「アントニオ・ガウディ展」(1978-79)、アパルトヘイトに反対する動きを草の根的に展開した「アパルトヘイト否!国際美術展」(1988-90)、米軍基地跡地を文化の街に変えた「ファーレ立川アートプロジェクト」(1994)等。地域づくりの実践として、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」、「瀬戸内国際芸術祭」、「房総里山芸術祭 ICHIHARA ARTxMIX」、「北アルプス国際芸術祭」、「奥能登国際芸術祭」等で総合ディレクターをつとめる。

卯城竜太(うしろ・りゅうた)
Chim↑Pomは2005年、卯城竜太・林靖高・エリイ・岡田将孝・稲岡求・水野俊紀により結成。時代と社会のリアルに全力で介入した強い社会的メッセージを持つ作品やプロジェクトを世界中で展開している。2019年松田修との共著「公の時代」を発表。あいちトリエンナーレ2019では「表現の不自由展・その後」参加作家としてReFreedom_Aichiのムーブメントにおいて求心的な役割を担う。

小林恵吾(こばやし・けいご)
1978年東京生まれ。2002年早稲田大学理工学部建築学科卒業。2005年ハーバード大学大学院デザイン学部修士課程修了後、2012年までOMA/AMOロッテルダム事務所に勤務。代表レム・コールハースと共に主に北アフリカや中東地域のプロジェクトを多数担当。その後、早稲田大学理工学研究科建築学専攻助教を経て2016年より同大学准教授。設計事務所NoRA共同主宰。主な作品に「2014年ヴェネチア建築ビエンナーレ日本館展示計画」、「ワセダライブハウス」、「Gordon Matta-Clark展会場計画」など。PortB/高山明と「Wagner Project」や「マクドナルドラジオ大学」の会場構成等でも協力。

若林朋子(わかばやし・ともこ)
プロジェクト・コーディネーター/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授
デザイン会社勤務を経て英国で文化政策を学ぶ。1999~2013年企業メセナ協議会勤務。プログラム・オフィサーとして企業が行う文化活動の推進と芸術支援の環境整備に従事。13年よりフリー。事業コーディネート、執筆、調査研究、評価、助成制度設計、自治体の文化政策やNPO支援等に取り組む。NPO法人理事(芸術公社、芸術家と子どもたち、JCDN)、監事(アートプラットフォーム、ON-PAM、音まち計画、アーツエンブレイス、TPAM)、アートによる復興支援ARTS for HOPE運営委員。社会デザインの領域で文化、アートの可能性を探る日々。

撮影:安田有里 ⒸKo Na design

相馬千秋(そうま・ちあき)
NPO法人芸術公社 代表理事/アートプロデューサー。「フェスティバル/トーキョー」初代プログラム・ディレクター (F/T09春〜F/T13)、文化庁文化審議会文化政策部会委員(2012-15)等。2015年フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受章。2016年より立教大学現代心理学部映像身体学科特任准教授。2017年より「シアターコモンズ」実行委員長兼ディレクター。「あいちトリエンナーレ2019」のキュレーター(舞台芸術)も務めた。

Photo: Yurika Kawano

日時

3月3日(火)18:00-21:00

会場

リーブラホール
〒105-0023 港区芝浦1-16-1 みなとパーク芝浦 1F
*オンライン配信に変更となりました(詳細はこちら

参加方法

要予約・コモンズパス提示
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上演言語

日本語