モニラ・アルカディリ&ラエド・ヤシン[クウェート、レバノン/ドイツ ]
「吊り狂い」

Monira Al Qadiri & Raed Yassin [Kuwait, Lebanon / Germany]

"Suspended Delirium"

  • 演劇的インスタレーション
© Frederic Duval
人間と人形、正気と狂気、現実と妄想。
「宙吊りの錯乱」が詩的言語を生成する、ロボット人形劇。

モニラ・アルカディリはクウェート出身、ラエド・ヤシンはレバノン出身のアーティスト。ともにベルリンに在住し、それぞれの出自である中東世界への批評的なまなざしと、サブカルチャーやテクノロジーを混交させたアプローチで、独自の表現を切り拓いてきた。

コロナ危機におけるロックダウン、そしてヤシンの故郷ベイルートを破壊した2020年8月の大爆発。隔離された空間で極限状態に追い詰められた二人の対話から、本作品は生まれた。彼ら自身と飼い猫の頭部を模した3体のロボットは、コロナ禍で錯乱する会話を断片的かつ詩的に語り出す。その動きは、メディア・アーティスト菅野創が手がけるプログラムによって不気味なシンクロをみせる。この「宙吊りの狂気」の感覚は、今なおパンデミックに生きる私たちにいかなる撹乱作用をもたらすだろうか。

プロフィール

モニラ・アルカディリ
16歳でクウェートから日本に留学し、東京藝術大学で博士号を取得した異色の経歴を持つ。自らが育った中東世界への鋭いまなざしと、幼い頃から心酔してきた日本のアニメ文化を混交させた映像やパフォーマンスを創作してきた。その作品は、聖と俗、男と女、死者と生者、善と悪など宗教や社会の中で二分化された事象を攪拌し、独特な悲哀とユーモアによって越境する。近年ではアテネ・ビエンナーレ2018、シャルジャ・ビエンナーレ2019など多数の国際展に参加、またクンステン・フェスティバル・デザール2017、あいちトリエンナーレ2019などではパフォーマンス作品も発表。2020年にはミュンヘンのハウス・デア・クンスト(芸術の家)で個展を開催。現在は、ベルリンを拠点に活動。

© Yasmina Haddad

ラエド・ヤシン
1979年ベイルート生まれ、レバノン出身。アーティスト、音楽家。2003年ベイルート芸術学院演劇学科を卒業後、ビデオ、音楽、写真、文章、彫刻、パフォーマンスといったさまざまなメディアを使った創作活動を展開。その作品は、大量消費社会のシステムを批評的に利用しつつ、自らの個人的なナラティブや、それらが共同体に占める位置を再検討することによって生み出されている。2015年ケルン世界芸術アカデミーのフェローを獲得し留学。Abraaj Group Art Prize受賞(2012年)。ベイルートの現代実験音楽フェスティバル、Irtijal Festivalの主宰者のひとりであり、“A”Trio、PRAEDといった音楽グループにも参加、複数のソロアルバムをリリースしている。また2009年にはレーベル、Annihayaを設立。ベルリン、ベイルート在住。

© Tony Elieh

菅野創(かんの・そう)
1984年青森生まれ千葉育ち。2013年よりベルリンを拠点に活動。ドローイングロボットや群れロボットを用いたインスタレーションを多数制作。幾度のフェスティバル・アルス・エレクトロニカ、パリのグランパレで開催された「Artistes & Robots」、あいちトリエンナーレなどの国際グループ展に参加。文化庁メディア芸術祭受賞多数。

© Martina Kohnova

日時

2月21日(月)、22日(火)
15:00–17:00/17:00–19:00/19:00–21:00

2月23日(水・祝)
12:00–14:00/14:00–16:00/16:00–18:00/18:00–20:00

2月24日(木)
13:00–15:00/15:00–17:00/17:00–19:00

*30分の作品を、各日の開始時間よりループ上演します。予約の時間内にお越しいただき、自由にご鑑賞ください。

上演時間

30分(ループ上演)

会場

SHIBAURA HOUSE 5F
〒108-0023 港区芝浦3-15-4

参加方法

要予約・コモンズパス提示

パス購入はこちら

上演言語

英語(日本語字幕つき)

クレジット

コンセプト、演出、脚本|モニラ・アルカディリ、ラエド・ヤシン
ロボットシステム開発|菅野創、ピート・シュミット
音楽|ラエド・ヤシン
ヘッドペインティング|サイード・バアルバキ
企画・製作|ベルリン芸術祭・70周年記念プログラム「Wild Times, Planetary Motions」(キュレーション:ナターシャ・ギンワラ、イェルーン・フェルステール)

東京公演
舞台協力|株式会社ステージワークURAK
日本語字幕監修|戸田史子 翻訳|阿部幸
協力|ゲーテ・インスティトゥート東京