シャンカル・ヴェンカテーシュワラン[インド]
「インディアン・ロープ・トリック」

Sankar Venkateswaran [India]

"Indian Rope Trick"

演劇公演

なぜ、私たちは見ているつもりの「真実」を見逃すのか。
現代社会に複雑に張り巡らされた「トリック」の構造に迫る最新作。

昨年のシアターコモンズ’19で「犯罪部族法」を上演し、社会や個人の無意識に潜む差別の構造に鋭く迫ったシャンカル・ヴェンカテーシュワラン。今回、再び京都造形芸術大学舞台芸術研究センターとシアターコモンズとの共同製作に取り組み、人々の幻想を掻き立て続けてきた伝説「インディアン・ロープ・トリック」をモチーフにした最新作を上演する。
多数の民族や階層が混在する社会では、多数派の支配のツールとして神話や物語が書かれ、それらは繰り返し語られるうちに、共通の「真実」となってゆく。私たちがいつの間にか受け入れている「真実」──ごまかし、プロパガンダ、フェイク・ニュース、人々がすすんでそれらを信じようとすることを基盤に、社会構造は築き上げられてきた。その国家主義的、民族主義的アイデンティティの構築に疑問を投げかけ、真実を見透かそうとするシャンカルの視線の先に、観客は自らの内側にまで深く入り込んだ魔術の影を見出すかもしれない。

「インディアン・ロープ・トリック」とは……
奇術師は弟子の少年を連れて、人々の集まる広場に現れる。奇術師が魔法をかける行為をすると、ロープが空高く登っていく。少年はロープを登って行き、姿が見えなくなるが、いつまでたっても戻ってこない。その後、奇術師もロープを登って後を追い、姿を消す。突然、少年の悲鳴が聞こえ、バラバラになった少年の体が空から降ってくる。奇術師がロープを降り、バラバラの体に魔法をかけると、少年は元通り復活する。これは14世紀のモロッコ人による旅行記をはじめ、いくつかの文献に記載されており、19世紀には多くのインドのマジシャンがこのトリックに挑んだ。なお、この物語には様々なバリエーションが存在する。

プロフィール

シャンカル・ヴェンカテーシュワラン
1979年インド・ケーララ州カリカット生まれ。インド国内およびシンガポールの演劇学校で研鑽を積み、2013年ノルウェーの国際イプセン奨学金受賞。国内外で演出活動の傍ら、インド国内外の劇団や演劇学校にて、独自の俳優トレーニング法を取り入れたワークショップを開催。2015-16年にはケーララ州国際演劇祭の芸術監督を務めた。2016年にはKYOTO EXPERIMENT京都国際舞台芸術祭にて太田省吾の代表的戯曲『水の駅』を演出し話題を集める。2019年1月には『犯罪部族法』を京都芸術劇場studio21およびシアターコモンズ’19にて上演した。 現在、ケーララ州の山中に独自の劇場を建設しながら、インドと世界の演劇界をつなぐ活動を展開している。

©Gabriela Neeb

日時

2月27日(木)19:00*終演後、ポストトーク有、司会|岩城京子(演劇パフォーマンス学研究者、アントワープ大学専任講師)
2月28日(金)19:00

上演時間

約70分

会場

リーブラホール
〒105-0023 港区芝浦1-16-1 みなとパーク芝浦 1F

参加方法

要予約・コモンズパス提示
パス購入はこちら

上演言語

英語・カンナダ語(日本語字幕付き)

クレジット

演出|シャンカル・ヴェンカテーシュワラン
出演|チャンドラ・ニーナサム、アニルドゥ・ナーヤル、サンジュクタ・ワーグ
音楽|スニール・クマール・PK
舞台美術|ジャン=ギ・ルカ
プロデューサー、日本語字幕|鶴留聡子
製作|シャンカル・ヴェンカテーシュワラン、京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター、シアターコモンズ

通訳|田村かのこ (Art Translators Collective)