Commons Forum #3
“Arts and Virtuality”
言論イベント
フランスの詩人・演劇作家アントナン・アルトーがエッセイ「錬金術的演劇」(1932年)において、演劇はまるで錬金術のように、日常の表面下に潜むより危険な現実を、物理的に鋳造してみせる「la réalité virtuelle(ヴァーチャル・リアリティ)」である、と造語を用いて論じてから90年あまり。アルトーによって予言された「仮想現実」は今、進化を遂げるVRテクノロジーによって、私たち人間の知覚とその延長にある身体的現実を拡張し始めている。
本フォーラムでは、小泉明郎によるVR演劇作品『縛られたプロメテウス』の上演と、世界各地の専門家やキュレーターによるプレゼンテーションを踏まえ、人類とヴァーチャル・テクノロジーの間にあらたに生成され続ける関係性や、VRを活用した演劇的経験の可能性について議論を開く。
登壇者│
マイケ・ブレーケル(ユトレヒト大学演劇学教授、メディア&パフォーマンス研究所主任)
シャルル・カルコピノ(キュレーター)
リン・ジンヤォウ(C-LAB台湾サウンドラボ ディレクター)
小泉明郎(アーティスト)
司会│岩城京子(演劇パフォーマンス学研究者、アントワープ大学専任講師)
コモンズ・フォーラム
あいちトリエンナーレ2019以後、「表現の自由」や「芸術の公共性」をめぐる議論が噴出している。分断と不和が可視化された今日の社会において、私たちはどこへ向かうのか。今回のシアターコモンズでは、この火急の状況への応答として、4回にわたるコモンズフォーラムを集中開催。「芸術と社会」「芸術と公共」「芸術と仮想性」「芸術と政治」という4つのテーマ設定のもと、国内外から総勢20名を超える論客を招き、合計10時間を超える議論の場を設ける。歴史と未来をつなぎ、理論と実践を行き来しながら、社会の分断を乗り越えるための芸術の可能性について立ち止まって考える共有地が、今こそここに立ち現れるはずだ。
プロフィール
マイケ・ブレーケル(Maaike Bleeker)
ユトレヒト大学演劇学教授及びメディア&パフォーマンス研究所主任。多くの演出家や振付家と仕事をするドラマトゥルクでもある。2011年から2016年まで国際パフォーマンス学研究学会の学会長を務める。自身の研究では、芸術とパフォーマスに対する視座に、哲学、メディア理論、認知科学などの知見を融合させる。単著に『Visuality in Theatre』(パルグレーヴ社、2008年)。編著に『Anatomy Live. Performance and the Operating Theatre』(2008)『Performance & Phenomenology』(2015)、『Transmission in Motion. The Technologizing of Dance』(2016)、『Thinking Through Theatre and Performance』(2019)など。現在は「ロボットのように演ずる:ロボット革命の試験場としての演劇」という研究プロジェクトを牽引している。
マイケ・ブレーケル教授による、コモンズ・フォーラム#3「芸術と仮想性」に寄せた論考はこちら
リン・ジンヤォウ(林經堯)
作曲家、メディアアーティスト。2014年に国立台湾大学でコンピューターサイエンスと情報工学の博士号を取得、国立台北芸術大学で美術修士号と音楽学士号を取得。2019年より国立台南芸術大学准教授。またC-LAB台湾サウンドラボのディレクターを務めている。現代美術、演劇、音楽における領域横断的な活動を展開し、台湾と香港において数々の賞を受賞。
シャルル・カルコピノ(Charles Carcopino)
フランス・パリに在住。メディアアートを専門とするキュレーターとして、展覧会のキュレーションと映像制作を横断する活動を展開。長年にわたり、パリ郊外の芸術文化センター「メゾン・デザール・クレテイユ」が主催するメディア芸術祭Exit Festival およびVIA Festival のキュレーターを務めた。現在はインディペンデント・キュレーターとして国際的に活動し、ポスト・インターネット社会を考察する展覧会を多数企画。またオペラ、バレエ、実験音楽の公演のためにインタラクティブな舞台美術を制作するなど、映像クリエイターとしての活動も行っている。
小泉明郎(こいずみ・めいろう)
1976年群馬県生まれ。国際基督教大学卒業後に渡英し、ロンドンのチェルシー・カレッジで映像表現を学ぶ。近年はニューヨーク近代美術館のProjectsやテート・モダンのBMWテート・ライブをはじめ、国内外の数多くの展覧会に参加。2015年には初期作品から新作までを揃えた初の大規模個展「捕われた声は静寂の夢を見る」をアーツ前橋で開催。2017年、vacantで開催された個展「帝国は今日も歌う」は社会と個人の心理に深く切り込む大胆な映像で大きな反響をよんだ。
岩城京子(いわき・きょうこ)
演劇パフォーマンス学研究者。専門は日欧近現代演劇史。及び、哲学、社会学、ポストコロニアル理論、などに広がる演劇応用理論。二〇一七年にロンドン大学ゴールドスミスで博士号(演劇学)を修め、同校にて教鞭を執る。博士号取得後、アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成を得て、ニューヨーク市立大学大学院シーガルセンター客員研究員。二〇一八年四月より早稲田大学文学学術院所属 日本学術振興会特別研究員(PD)。単著に『日本演劇現在形』(フィルムアート社)等。二〇二〇年六月頃よりベルギーにてアントワープ大学演劇学部専任講師に着任。
日時
3月7日(土)17:00-20:00
会場
ゲーテ・インスティトゥート
東京ドイツ文化センター
〒107-0052 港区赤坂7-5-56
*オンライン配信に変更となりました(詳細はこちら)
参加方法
要予約・コモンズパス提示
パス購入はこちら
上演言語
日本語(英語逐次通訳つき)
クレジット
協力|ゲーテ・インスティトゥート東京
助成|在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
*本フォーラムは、第9回「デジタル・ショック」連携イベントです。www.institutfrancais.jp/digitalchoc/