萩原雄太/太田省吾
『更地』

Yuta Hagiwara / Shogo Ota

“Sarachi (Vacant Lot)”

リーディング

©Shigemi Togashi
変容する都市・東京を眼の前に
太田省吾の言葉を発し「更地」を見つめる密かな時間。

終戦とともに、日本は更地になった。また度重なる震災により、1995年には関西に、2011年には東北・東日本に広大な更地が出現した。1992年、バブル景気の狂乱の崩壊期に執筆された太田省吾の戯曲『更地』もまた、家の解体を終えた更地を訪れた、ある男女を描いている。しかし、二人が過去を回想する更地は、どこか、私たちに希望を感じさせてくれる。
かもめマシーンを主宰し、古今東西の戯曲を果敢に現代に読み解く演出家の萩原雄太は今回、この戯曲を参加者とともに発話することで、幾度にもわたってこの国に出現した「更地」を見つめる視線の必要性を問いかける。今、オリンピックを目前に控え、不安定な地盤の上に数多くの建築を生み出し、都市はその姿を変えようとしている。私たちは、建築物や開発ではなく、更地を共有しているのではなかったか。2019年3月、ここ東京で太田の言葉に身体を委ね、これまでとこれからのボイドを見つめよう。

リーディング・パフォーマンス

2019年の東京で、声に出して戯曲を読む。
東京の日常に媚薬を垂らし、波紋を広げる。リーディング・パフォーマンス始動。

声に出して戯曲を読む。演劇にとって最もシンプルな営みは、俳優だけではなく、あらゆる人に開かれている。だが、実際に一つの戯曲を最初から最後まで声に出して読んだ経験がある人は意外と少ないものだ。それでは今、オリンピックを控えた東京で、自分が声に出して読むとしたら、どこで、どんな言葉だろうか?
リーディング・パフォーマンスと題する本企画は、この問いを投げかけられた3人の演出家が提案する戯曲を、ある場所で、複数の参加者が初見で音読するというものだ。特別な準備や練習もない、ただ、戯曲に書かれた言葉を、たまたま居合わせた他の参加者とともに、声に出して読む。過去に書かれた言葉は、2019年の東京に生きるあなた自身の身体を経由し、「いま、ここ」にどのような変容をもたらすのか。3人の演出家が仕掛けるささやかな音読の時間と空間は、都市・東京の日常に、媚薬のように波紋を広げることになるだろう。

プロフィール

萩原雄太(はぎわら・ゆうた)
1983年生まれ。演出家、かもめマシーン主宰。早稲田大学在学中より演劇活動を開始。愛知県文化振興事業団「第13回AAF戯曲賞」、「利賀演劇人コンクール2016」、浅草キッド『本業』読書感想文コンクール受賞。手塚夏子『私的解剖実験6 虚像からの旅立ち』にはパフォーマーとして出演。2018年、ベルリンで開催された「Theatertreffen International Forum」に参加する。

太田省吾(おおた・しょうご)
1939年中国、済南市生まれ、2007年逝去。劇作家、演出家。68年、劇団「転形劇場」の創立に参加、70年より主宰。77年初演『小町風伝』で、第22回岸田國士戯曲賞受賞。81年初演の『水の駅』は台詞を排除した前衛的な『沈黙劇』として知られ、『地の駅』、『風の駅』とともに沈黙劇3部作として世界20都市以上で上演を成した。88年劇団解散後、藤沢市湘南台市民シアター芸術監督、近畿大学教授、京都造形芸術大学教授・映像舞台芸術学課長などを歴任。『更地』は劇団解散後の92年に書かれた。

日時

3月6日(水) 19:00
3月10日(日) 19:00
3月11日(月) 14:00
*追加公演 / 19:00

上演時間

約120分

注意事項

各回定員約20名
(お申込いただいた皆様に音読の一部を担っていただきます)

会場

慶應義塾大学三田キャンパス
旧ノグチ・ルーム

〒108-8345 港区三田2-15-45
会場お問合せ│03-5427-1621

参加方法

要予約・コモンズパス提示
パス購入はこちら

上演言語

日本語

クレジット

構成・演出|萩原雄太
作|太田省吾
振付協力|尾花藍子
会場協力|慶應義塾大学アート・センター 他

関連イベント

リーディング・パフォーマンス参加アーティスト3名によるポスト・トーク
日時:3月10日(日)14:00の回終了後 
会場:慶應義塾大学三田キャンパス 旧ノグチ・ルーム
定員:50名程度 
参加方法:予約不要・先着順 コモンズパス提示