ワン・ホンカイ[台湾]
「This is no country music」

Hong-Kai Wang [Taiwan]

“This is no country music”

レクチャーパフォーマンス|ワークショップ

20世紀の東アジア史に翻弄された作曲家、江文也。
「国家」という枠組みの狭間で紡がれた「国なき譜(うた)」を再現する、異色の「学校/リハーサル」。

1936年ベルリン・オリンピック芸術競技部門に交響曲「台湾舞曲」を出品し、山田耕作らをおさえ入賞した「日本人」作曲家がいたことをご存知だろうか。江文也(1910-1983)は、日本統治下の廈門(アモイ)で育ち、日本で歌手としても音楽家としても名を成し、中国に教授として迎えられるも、冷戦や文化大革命によって、二つの故郷に帰ることなく中国で死去した不遇の芸術家である。
時代の荒波のなか、江は孔子の音楽思想を学び、台湾・日本・中国の土着の音楽文化の調査・収集を熱心に行っており、それらを元にして書かれた楽譜は、調査ノートそのものと言っても過言ではない。私たちは今、江が残した膨大な「国なき譜(うた)」へ、どのようにアプローチすることが可能なのか。
この問いと向き合うのは、台湾を拠点に世界的に活躍するアーティスト、ワン・ホンカイ。今回、彼女は専門家と協働したリサーチを経て、創作ワークショップを企画、その成果をレクチャーパフォーマンスとして披露する。そこで参加者は、「聴く」、「読む」、「歌う」、「空間を立ち上げる」、「鑑賞する」といった行為を集団で経験することによって、江文也とその音楽、彼が生きた東アジアの歴史について、あらたな知覚とともに追体験することになるだろう。

創作ワークショップについて

江文也に関するリサーチや譜面を手がかりに、それを身体的・集団的に経験する方法を共に探るワークショップ。ゲストによるレクチャー、江文也ゆかりの場所の訪問、譜面を見ながらのディスカッションなどを通して、彼が生きた複数の国家・歴史・文化を行き来し、一人の芸術家の視点から「あり得たかもしれない音楽」を想起する。

<こんな方におすすめ>
・現代アートの創作ワークショップに参加し、その方法や構成を学びたい
・アジア各地の音楽文化や民族音楽に興味がある
・東アジアの近現代史に興味がある

江文也(1910-1983)
1910年の台湾で生まれ、13歳で長野県上田市に留学。音楽と出会い、東京では山田耕筰、橋本國彦に作曲を学ぶ。中国、台湾、日本の音楽語法とモダニズムを融合したピアノ曲、声楽曲、交響曲などを発表。1938年、北京師範大学に音楽系教授として招かれる。そのまま北京で1945年の終戦を迎え、日本国籍を失い日本の家族と離別。その後も蒋介石の国民党政権下、文化大革命といった時代の流れに翻弄され続けた。文革終結後の1978年に名誉回復されたが1983年に北京で死去。2004年公開の映画『珈琲時光』においては、彼のピアノ曲が取り上げられたほか、日本側の遺族も出演している。

プロフィール

ワン・ホンカイ(王虹凱)
台湾・虎尾(フーウェイ)生まれ。言語、イデオロギー、アイデンティティ、知識の枠組を絶え間なく緊張関係に置き、既存の歴史や地理の理解を変形させるアプローチで国際的に高い評価を得る。発表メディアはサウンド・インスタレーション、パフォーマンス、ワークショップ、テキストなど多岐にわたる。2017年ウィーン芸術アカデミーで博士号を取得。ヴェネツィア・ビエンナーレ台湾館(2011)、ドクメンタ14、台北ビエンナーレ等国際展にも多数参加。日本では京都国際現代芸術祭パラソフィア2015、TPAM2019にも招聘されている。

日時

3月2日(土) 17:00
3月3日(日) 17:00
*作品制作にあたり、1月26日(土)-28日(月)の3日間の創作ワークショップを開催します。(コモンズパス対象外・要予約)。

上演時間

約60分

会場

台北駐日経済文化代表処
台湾文化センター

〒105-0001 港区虎ノ門1-1-12 虎ノ門ビル2F
会場お問合せ│03-6206-6180

参加方法

要予約・コモンズパス提示
パス購入はこちら

上演言語

中国語(日本語逐次通訳つき)

クレジット

構成・演出・出演|ワン・ホンカイ
リサーチ(音楽史)|鄭暁麗
通訳・翻訳・リサーチ|詹慕如
会場協力・助成|台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター

関連イベント

創作ワークショップ|無料・要予約
・日時:2019年1月26日(土)・27日(日) 13:00-18:00、28日(月) 18:00-21:30
・会場:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター 他
・募集期間:2018年12月21日(金)~2019年1月7日(月)
(結果は1月15日(火)までにメールにて通知します)
・募集人数|15名程度(応募者多数の場合は抽選)
・応募資格|
– 1月26日(土)〜28日(月)の全日程参加できる方
– 国籍不問(ワークショップは通訳を介して日本語で行います)

創作ワークショップ
詳細・お申し込みはこちら