レポート

冬期集中ラボ「スペクタクルの林間学校」スタート

2018.3.2

2月28日より、アミカル・ド・プロダクションによる冬期集中ラボ『スペクタクルの林間学校』が始まりました。

本ワークショップでは、2月28日から3月3日までの4日間、フランス・ベルギーを拠点に世界的に活躍する気鋭のコレクティブ、アミカル・ド・プロダクションの創設者の一人であるジュリアン・フルネに加え、ドラマトゥルクのアンナ・チャプスキーとプロデューサーのマリオン・ル・ゲルエらを交えて、開催します。

初日である2月28日は、ジュリアンによる4日間の概要説明があったのち、事前に課題として提示されていた『現実のかけら』をもとに進められました。参加者が各々持ち寄った『現実のかけら』を伝言ゲームのように相手に手渡していきます。生活感あふれる身近な『かけら』から実体を持たないエピソードのような『かけら』まで、様々な形で手渡された『かけら』たちは、受け取った後自分の物として再構築し、そしてまた次の人へと手渡されていきました。

全員がそれぞれ他の人の『かけら』を手にした後は、番外編としてシチュエーションゲームを行いました。
Le Poi-Poi(ポイポイゲーム)と名付けられたこのゲームは「〇〇はどう?」「いい感じ。XXはどう?」といったやり取りを繰り返すもので、会話として成り立たせながら新しい質問を相手に投げかけていきます。相手が詰まったら「Poi-Poi!」と宣言して勝利です。頭の回転の速さが試され、参加者には笑顔が自然と生まれていました。

お昼休憩をはさみ、午後は他己紹介から再開。今日初めて会ったばかりの人のことを、午前中に聞いた話の端々や身につけているものから、事実と想像を織り交ぜた他己紹介もリレー形式で行われました。

その後は午前中に行った『現実のかけら』の続き。それぞれが他の人から手渡されていた『かけら』を、紙やペン、ホワイトボードなどを使い、自由に発表します。参加者の手によって形を変えた『かけら』たちは、想像力豊かで不可思議な雰囲気をもったパフォーマンスへと昇華されていきました。

最後に、アミカル・ド・プロダクションではよく実施されるというメテオを行いました。一日の終わりに、現在の自分の中の天気を述べることで、個人個人の内側を知ることができます。
プロデューサーのマリオンは、「参加者とのチャンネルが合わなかったらどうしようという不安もあったが、一日過ごして快晴へと変わった」とコメント。
参加者からも、「横のつながりで進んでいくワークショップは初めてだった」「初めは不安や緊張があったが、ゆっくりと時間が流れ、ジュリアンのもつ時間の流れに身を任せようと思った」といったコメントがあり、曇りのち晴れとなった人が多い印象でした。

まとめとして、ジュリアンから一日全体の総評がありました。他己紹介について触れ、「この人はきっと真面目に違いない、持ち物から〇〇が好きそうなど、人の性質について皆が話すところにびっくりした。個人的すぎるからフランス人はそこまで踏み込まない。そこがすごいと思った。」とコメント。また、『現実のかけら』については『目に見えるものを通して、目に見えないものが語られていた。西洋では形の無いものに興味をあまり示さないから、ものを通して抽象を語ることに驚いた』とのこと。

初日を終え、参加者たちはやや疲れた様子も見受けられましたが、充実したワークショップに満足気な表情で帰路に着きました。

(芸術公社インターン・山口敦子)

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