レポート

ドラマトゥルギーラボ|第1回

2017.12.20

12/4に、ドラマトゥルギーラボの初回が行われました。

芸術公社代表理事・相馬千秋と同理事・大舘奈津子が共同ディレクターを務めるこのラボでは、語るためのフレームや話法を生み出す技術というテーマのもと、ゲスト講師によるレクチャーとワークショップが行われます。4人の講師は、演劇、映画、映像、小説という異なるメディアで表現活動をおこなうアーティストです。具体的な作品の鑑賞と創作の際の独自の戦略性などに触れ、さらに彼らとの対話を通して、受講生はそこで生成されているドラマトゥルギーについて学ぶことになります。
初回である今回は、受講生各々からの自己紹介の後、ディレクターの相馬・大舘により、ドラマトゥルギーとは何かを探るレクチャーが行われました。

その語源、および18世紀ドイツにおける職能としてのドラマトゥルクの起源を辿り、ドラマトゥルギーの概念を捉え直していきます。劇作術、すなわち劇作のための技術が戯曲上演のための技術となり、さらに舞台作品を成立させる構造に関するものへとドラマトゥルギーの概念は拡張されていきました。たとえば演劇的想像力を駆使した偶然の出会いの組織化という寺山修司の演劇論にみられるドラマトゥルギーとは、関係づけることであり、出会いそのものです。ドラマトゥルギーの概念は、日常生活における社会的相互作用や都市空間を論じるため社会学に援用されたことで、現代ではよく知られるものとなっています。

こうした概念拡張の歴史を踏まえた上で、相馬は「作品の構造やフレームを決定づける戦略」、大舘は「対象物に対する距離のとり方」という言葉でドラマトゥルギーを語りました。レクチャーの後は、受講生にスタッフを交えたグループワークとなりました。ドラマトゥルギーをある種の振り付けとみる意見や専門とする表現メディア特有の問題意識など、どのグループでも積極的な議論が交わされ、全体に共有されました。今後のラボを通して、受講生はいよいよ自らが語るための技術を模索いくでしょう。

(芸術公社インターン・重城 むつき)

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