レポート

森山直人ラボ|第2回レポート

2017.8.10

7/28に、森山直人ラボの第2回目が、港区・SHIBAURA HOUSEにて行われました。

このラボでは、演劇批評家であり京都造形芸術大学舞台芸術学科教授の森山直人氏をディレクターに迎え、「いま・ここ・わたし(たち)」をテーマに各回講師を招いて講義を行っています。今回は、演劇研究者であり同志社大学文学部教授の川島健氏を迎え、「戯曲」「言葉」「劇場」をテーマに講義が行われました。

今回はまず「戯曲」と「言葉」の関係性について考えることから始まりました。これらはイギリス演劇を通して考えることで、「戯曲」に対して「言葉」が持っていた優位性と、それが俳優術にもつながっていることがわかります。そこから俳優の身体論、T.S.エリオットの詩劇論、イプセン、「ピグマリオン」と「マイ・フェア・レディ」などを経ることで、英国人にとっての“英語”というアイデンティティが抱える問題点が浮かび上がるのです。そしてここから、ナショナルシアターがどのような作品を扱うべきか、つまり「劇場」とその国のアイデンティティの問題へと展開します。こうして、「戯曲」「言葉」「劇場」のテーマは演劇だけに収まる問題ではなく、その国のアイデンティティに関わる重要なテーマであることがこの講義で明らかにされたのです。
後半ではグループに分かれてのディスカッションが行われました。各班講義を受けての疑問点や考えを出し合いながら、「日本でナショナルシアターがどう機能するのか」という問いに迫っていきました。

最後に、当ラボのディレクター・森山氏から、「今回の講義・ディスカッションで得たことについての考察を次回まで続けていてほしい」とのコメントがありました。森山ラボでは、次回の講義までひと月近く間があります。この「考え続けること」が次回までの課題となるでしょう。

(芸術公社インターン・増田祥基)

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