森山直人ラボ|第1回レポート
2017.7.31
7/21に、森山ラボの第1回目が、港区・SHIBAURA HOUSEにて行われました。
このラボでは、演劇批評家であり京都造形芸術大学舞台芸術学科教授の森山直人氏をディレクターに迎え、芸術史、特に舞台芸術史と「いま・ここ・わたし(たち)」を接続する技術というテーマで講座を行っています。12月までの半年間にわたり、ゲストの講師による講座が全8回行われる予定です。受講生は事前に与えられる課題に時間をかけて取り組み、それぞれの講座に臨むことになります。
今回の講座には森山直人氏が講師として登場し、受講生に対してラボの理念を語りました。現在の日本において「演劇」が美術や音楽と並ぶ文化的基盤として確立されていない問題に対し、このラボは、ひとびとが「演劇」と出会うきっかけになるような一冊の教科書をつくるという具体的なヴィジョンを持ちます。そしてラボでの学びによって、受講者それぞれが、日常生活のなかに拡がる演劇「的」なものを批評的に捉えるための手立てを獲得することを期待するのです。
講師、そして受講生による自己紹介の後、いよいよ森山直人氏によるレクチャーに移りました。何らかの形で実際にクリエイションに携わっている、また舞台芸術史について学び直したいと考えている受講生の多さを受けて、ラボ初回であったこの日は、舞台芸術を語る上でこれまでに用いられてきたボキャブラリーおよび概念の整理を主旨としたレクチャーになりました。舞台芸術の価値を改めて探るために、時代順、地域別という従来の視点から離れ、作品の「創造」と「受容」という角度から舞台芸術史のアクティブでプラクティカルな側面を紐解いていきます。
レクチャーのあいだは真剣な表情で聴き入っていた受講生も、レクチャーの内容への質疑応答となると次々に質問が飛び出していました。その後はテーブル毎にグループディスカッションが行われ、どのグループも時間いっぱいまで積極的な議論が交わされていました。そこで挙げられた各自の疑問や問題意識に対して、受講生は今後のラボを通して理解を深めていくことになるでしょう。
(芸術公社インターン・重城 むつき)