レポート

夏期集中ラボ4日目|陸前高田

2017.8.7

夏期集中ラボ、合宿ワークショップ4日目は陸前高田に移動しました。震災が起きてから陸前高田に移住した後、現在は仙台を拠点に活動している小森はるかさんと瀬尾夏美さんを講師に迎えてのワークショップです。

陸前高田に到着後、まずはお二人の映像作品「波のした、土のうえ」(2014)を鑑賞。地面を12mかさ上げする事業で激変する陸前高田の風景に、土地の人々に聞いた話のモノローグが重ねられる作品です。

鑑賞後は講師の案内で、復興事業がかなり進んでいる現在の陸前高田をめぐりました。災害復興住宅の屋上に上がり、沿岸部を一望。映像作品にも登場した阿部さんに、現在の陸前高田の状況、以前と今の思いの変化などをお聞きしました。

そのほか、震災遺構として残された道の駅や、防潮堤などを訪問しました。

午後は、レクチャーです。お二人が震災後どのように動き、感じ、そこで受けたことを作品に昇華させていったかをお話いただきました。

ボランティアとして訪れた先で、記録やそれを伝える媒介となることを役割として認識したこと、報道されない何気ない日常に見える土地の営みを拾うこと、一方であった作品化することへの葛藤。4年余りの時間をかけて土地に向き合ったプロセスは、受講生にとっても身近で参考になる内容でした。

そのようなプロセスを経て、拠点を仙台に移した後のお二人の作家活動や、記録のプラットフォームを作る一般社団法人NOOKもご紹介いただきました。
時間をかけて探っていった陸前高田とのあるべき距離が、陸前高田での活動や作品がより普遍性を帯びていくことと連動していく様子は、土地に根差した問題意識とそれを作品に昇華させることの間に必要なものをつかむための大きなヒントになりそうです。

講義の後の質疑応答では、当事者性をどう考えるべきか、境界が溶けてグラデーション化していくことなどこれまでの他のワークショップの内容にもつながるトピックが出て、明日につながるディスカッションとなりました。

相馬からは、お二人の活動から学べるポイントとして、作品を作らない時間を含め6年半かけたことの意義、対象と向き合いながら表現の方法を探り、彼ら自身の形を見つけていったこと、地域に根差しつつも、対象と適切な距離をもって自分たちの活動を進めていくことなどが受講生に伝えられました。

講義の後は、陸前高田のお祭り「うごく七夕」を堪能しました。

明日は最終日。これからのリサーチに向けて、それぞれに今後の展開を発表します。

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