中村大地/松原俊太郎
「正面に気をつけろ」

Daichi Nakamura / Shuntaro Matsubara

“Keep Your Front Up"

リーディング

Photo: Taro Motofuji
「そういうわけで、この国にあるのは一本の道だけだ」
身体と脳に注入される松原戯曲のエネルギーを、集団で体感せよ。

2019年に第63回岸田國士戯曲賞を受賞し、その賛否も含め演劇界に衝撃を与えた気鋭の劇作家、松原俊太郎。「立ち止まってくれ。ちょっと話そう。わたしたちは二十一世紀を迎え、同じ方向に逃げる群れとなった」。こう始まる代表作『正面に気をつけろ』は、ブレヒトの未完の戯曲『ファッツァー』をモチーフに「ここにいてはならない4人の死者たち」が、目の前に続く一本の道を正面に向かって進み続ける物語だ。様々なものが正面からやってくる。掟の門を守る門番と書記、作業員、物見遊山する女たち、略奪者…やってくるものの重みで道は傾きはじめる。果たしてこの道はどこへと続くのか。
東北と東京を行き来しながら思索を続ける若き演出家、中村大地は、この戯曲が放つ巨大なエネルギーを、同時代に生きる観客との発話を通じて集団的経験へと再編成する。過去と未来、あの世とこの世の狭間の一本道で、亡霊のように繰り返し立ち現れる戦争や震災、民主主義の挫折という大きな物語/歴史。この言葉を注入され続ける「わたしたち」の身体と脳は、どんな衝撃と変容を体感するのだろうか。

リーディング・パフォーマンス

2020年の東京で、声に出して戯曲を読む。
東京の日常に媚薬を垂らし、波紋を広げるリーディング・パフォーマンス。

声に出して戯曲を読む。演劇にとって最もシンプルな営みは、俳優だけではなく、あらゆる人に開かれている。だが、実際に一つの戯曲を最初から最後まで声に出して読んだ経験がある人は意外と少ないものだ。それでは今、オリンピックを目前に控えた東京で、自分が声に出して読むとしたら、どこで、どんな言葉だろうか?
リーディング・パフォーマンスと題する本企画は、この問いを投げかけられた2人の演出家が提案する戯曲を、ある場所で、複数の参加者が初見で音読するというものだ。特別な準備や練習もない、ただ、戯曲に書かれた言葉を、たまたま居合わせた他の参加者とともに、声に出して読む。過去に書かれた言葉は、2020年の東京に生きるあなた自身の身体を経由し、「いま、ここ」にどのような変容をもたらすのか。2人の演出家が仕掛けるささやかな音読の時間と空間は、都市・東京の日常に、媚薬のように波紋を広げることになるだろう。

プロフィール

中村大地(なかむら・だいち)
作家、演出家。1991年東京都生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京に在住。人が生き抜くために必要な「役立つ演劇」を志向する。近作『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席となる。

Photo: Taro Motofuji

松原俊太郎(まつばら・しゅんたろう)
作家。1988年、熊本県生まれ。神戸大学経済学部卒。2015年、処女戯曲『みちゆき』で第15回AAF戯曲賞大賞受賞。2019年『山山』で第63回岸田國士戯曲賞を受賞。主な作品に『忘れる日本人』『正面に気をつけろ』『ささやかなさ』など。2019年度セゾン文化財団ジュニア・フェロー。

日時

3月5日(木)16:00 *終演後、ポストトーク有、ゲスト|松原俊太郎
3月6日(金)13:00 
3月8日(日)15:00

上演時間

約120分

注意事項

各回定員約20名(お申込いただいた皆様に音読の一部を担っていただきます)

会場

慶應義塾大学三田キャンパス
旧ノグチ・ルーム

〒108-8345 港区三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス南館3Fルーフテラス
会場お問合せ│03-5427-1621

参加方法

要予約・コモンズパス提示
パス購入はこちら

上演言語

日本語

クレジット

構成・演出|中村大地
作|松原俊太郎
共催|慶應義塾大学アート・センター